従業員退職金・改訂 | BIZ-Partners
「規定」と「準備」 退職金の見直しは両面からの視点が重要です

適格年金の移行先はどこがいいの?

 適格年金解約の問題は企業にとっても従業員にとっても手間もお金もかかることです。もちろん退職金制度を見直していくという流れの中で、解約も有り得る手段ではありますが、やはり手間をなるべくかけたくない、お金も余計にはかけられないという企業は多いと思います。積立不足の問題も解約するだけでは解決しないまま残されています。そこで「移行」を考えてみることにします。

【適格年金の移行先は?】

 中小企業の場合、適格年金制度からそのままこれまでの積立金を移行できる制度は以下の3つです。正確には3つ以外に厚生年金基金もありますが、やはり積立不足という問題を抱えており、いったん加入するとなかなか抜けられないということを考えると現実的ではありませんので、ここでは検討の対象からは外します。

(1)確定給付企業年金制度(以下DB)
(2)日本版401K(以下DC)
(3)中小企業退職金共済制度(以下中退金)

 また退職金制度の見直しを考えた際に新しい制度の資金準備ということを踏まえると検討の対象となりうる方法があります。ただしこの場合はこれまでの積立金をそのまま移行できないという課題は残ります。

 以下では、資金準備の方法とする方法それぞれのメリットとデメリットをまとめてみます。

準備方法メリットデメリット
確定給付(DB)・従業員にとってはこれまでの制度と余り差がなく理解しやすい
・掛金は全額損金
・積立不足を毎年検証し、会社が拠出する必要がある。
・事務手数料が増大する。
日本版401K
(DC)
・企業に運用リスクが生じない
・(従業員の)目に見える退職金制度
・ポータビリティがある(優秀な転職者を確保できる)
・掛金は全額損金
・60歳までは現金化できない
・従業員への投資教育コスト負担
・適格年金移行時積立不足を一括拠出
中退金・企業に運用リスクが生じない
・退職金の積立不足が生じない ※1
・掛金は全額損金
・新規加入の場合は、掛金月額の助成がある ※2
・従業員本人に原則直接支給
・掛金が硬直的
・退職金規程で支払い対象を決めていても1年以上から支給対象となる
・すでに加入済の場合は移行先として使えない
会社自己資金・運用先制度のルールに捉われない
・事務手数料がかからない
・コストの平準化が出来ない
生命保険準備・死亡弔慰金として使用できる
・会社受取りのため、会社に裁量権がある
・会社業績変動にも対応できる
・保険種類によって損金割合が異なる
前払い退職金・退職金債務の問題が生じない・給与所得の対象→所得税、住民税
・社会保険の対象→会社負担の増大
※2008年1月現在

※1 退職金規程に定めている金額が、掛金についてのみの場合に限ります。退職時の退職金額そのものを定めている場合は別です。
※2 加入後4ヶ月以降1年間は掛金月額の2分の1が助成されます。上限5,000円

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